1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ
  4. 会計事務所のM&A体験談 ① (1/2) 【譲渡側 Y税理士】

ブログ

BLOG

会計事務所のM&A体験談 ① (1/2) 【譲渡側 Y税理士】

株式会社NICOTが数年前に仲介・成約した会計事務所の先生方に、その後の面談をお願いしました。
会計事務所のM&A体験談と3年経過後の状況をヒアリングしてまとめました。
先生方には、お忙しいところ、ご協力をいただきましてありがとうございました。
開示できない項目もあり、一部省略しておりますので、ご容赦ください。

Y税理士事務所(譲渡側)の概要
Y税理士(65歳)
所在地:大阪市内
創業 30年
クライアント:法人顧問先 約50 社、個人関与先 約30 件
スタッフ3名
M&Aによる譲渡の理由:後継者不足、税法・ITの複雑化

M&Aへの経緯
私は年齢が 60 歳を超えた時点で事業承継を計画し、後継者がいないので他の事務所との 『経営統合』を進めました。『事業譲渡』として一気に関与を離れると、関与先が不安になり、顧客が離脱してバラバラになる経験をした(過去に他の事務所を引き継いだ時の経験)ので、 経営統合として一定期間を共同経営の形で関与を続ける方法を選びました。 会計事務所を含め資格業は一般会社と異なり有資格者に引き継いでもらわなければならないという問題があり、調べた範囲では会計事務所の事業承継には次の方法があるようです。
・息子、娘婿など有資格の身内に引き継がせる。
・事務所の有資格の幹部スタッフに引き継がせる。
・複数の有資格者で税理士法人を設立する。
・他の事務所と経営統合する(M&A、事業譲渡含む)。
まず、知り合いの税理士・会計士(以下税理士等)に打診しました。2 件の会計事務所と交渉しましたが、どちらも後継者がおらず、しかも所長が同じように高齢なので、そもそも事業承継にならないということで破談になりました。開業歴の浅い若い税理士の知り合いもいましたが、統合するには負荷が大きすぎるという問題がありました。 次に会計事務所の M&Aも手掛けるコンサルティング会社に相談に行きました。全国で多くの実績を上げていて、様々な知識やアドバイスをもらい案件も数件引き合いがありまし たが、当事務所の規模が少し小さいので成立は困難と判断しました(相手は M&Aで規模を拡大する大手会計事務所が多かった)。 最後に知人からNICOT社のご紹介を受けて、仲介業務を依頼しました。NICOT社から、最初にM税理士法人に引き合わせてもらい、代表社員が若いこと、事務所の規模がほぼ同じこと、事務所の場所が便利なこと、関与先を大切にしてくれそうな誠実な印象により、多くの手続きを経て順調に統合に至りました。

引継ぎに関する重要事項
1. 当事者同士の交渉
会計事務所に限らず経営統合で重要なことは、当事者が何度も会合を行い、情報交換、情報開示、現状説明をすることです。この時にネガティブな情報を隠さず、財務諸表や税務申告書のみでなく関与先の組織の内情や人的関係、IT化の程度、後継者の有無、節税に対する執着度など生々しい実情もオープンにすることです(ただし、余計な偏見や先入観は回避すべき)。M税理士法人とは統合前も統合後も頻繁にコミュニケーションを取り十分な情報交換ができたことと、M税理士法人に当事務所の経営方針を押し付けず、相手の方針や業務手順を尊重したことも良い結果になったと思います。なおこの後、コロナ感染が拡大し関与先への同行訪問が数多くできなくなったことが唯一の後悔でした。

2. 関与先との関係
中小企業・中堅企業の経営者は様々な考えや個性を持ち、法人も業種、規模、業績(黒字、赤字、債務超過)と様々です。しかも会計事務所の税理士等と私的な付き合いがあることも多いです。結局は経営者と税理士等との『相性』の問題で、合わない場合はいずれ離れていきます。M税理士法人は経営統合によくありがちな「優良関与先だけ引継ぎ、それ以外は切り捨てる」というスタンスを取らず、小さな個人事業者もすべて継続して引き受けてくれました。ビジネスなので報酬面などで弱小事業者は切り捨てても仕方ないと思う反面、長年信頼関係を築いてきたのでできる限り関与を続けてほしいとも思いました。M税理士法人の代表社員はできる限り関与先を訪問していて、私も同行することもあります。最も大切なのは信頼関係を築くまでは何度も関与先を訪問することです。私は厄介で難しい性格の経営者ほど敢えて頻繁に訪問するように心がけました。 また業界の情報や過去の経験から5年以内に最大30%の関与先が離脱する(離脱リスク) ことがあるとされ、できるだけ関与先が離れないように個別に連絡を取りました。それでも数件は廃業や解散で減少し、それを補うために、ほかの新規顧客紹介をはじめ何件か穴埋めできたのは幸いでした。当事務所の顧問報酬などは比較的低いので統合を機に値上げすべきと考えましたが、そのまま横滑りとなり M税理士法人には申し訳なく思っています。
会計事務所のM&A体験談 ① (2/2) 【譲渡側 Y税理士】へ続く)

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

ブログランキング・にほんブログ村へ