1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ
  4. 会計事務所のM&A体験談 ① (2/2) 【譲渡側 Y税理士】

ブログ

BLOG

会計事務所のM&A体験談 ① (2/2) 【譲渡側 Y税理士】

会計事務所のM&A体験談 ① (1/2) 【譲渡側 Y税理士】よりつづき)
3.業務上の問題
①過去の膨大なデータ(資料)の引継ぎ
当事務所は紙ベース(直近5~7年はデータでも)で全関与先の過去の決算書・税務申告書、各役所への届出書、経営資料のそれぞれの「控え」を保管していました。関与先の書 類は「控え」といえども全て機密事項で、関与先に引き渡した後には紛失や盗難のリスクを回避するため、速やかに焼却サービスなどを利用して廃棄すべきと考えます。しかし稀に過去の書類の確認が必要なケースがあり(例えば BS に以前から自己株式が計上されているがこの取引は何時、どのように処理されたのか)、関与先が書類を保管していない場合は解明できなくなります。この点は税理士等によって対処が異なるので、引き継ぎの範囲と内容、責任の帰属が非常に重要です。

②財務・税務システムの問題
業務上の最大の問題は、財務・税務システムの変更です。統合の当事者同士が同じハードウェア、ソフトウェアを使用しているケースもありますが、互換性のない場合は大変です。当事務所は今となっては特殊な財務専用システムを使用していたので、M税理士法人は自社の市販ソフトに合わせるべくタイトな作業が続いたようです。特に注意すべきは、当事務所(統合側)のシステムのリース期間に余裕を持たせ、最低1年間は必ず並行処理できるようにスケジューリングすることでした。

③法人独自のカラーの提示
税理士等と関与先は長い付き合いです。税理士側は多くの関与先を持ちますが、関与先は 頻繁に税理士を変えるケースを除いては通常1人の税理士しか知りません。これはある意味弊害でもあり、長年固定的な概念や指導に縛られます。関与先も急激な変化は戸惑うので、統合後しばらくは従来の方式を踏襲するも関与先との信頼関係が構築できたらM税理士法人のオリジナルのカラーを提示し、提供できるサービスの範囲、報酬額もPRすべきと助言しました。

M&Aの結果について

後継者のいない会計事務所は前述のように事業承継は限られます。税理士法人化してもその後に方針の相違から解散したところも知っています。 当事務所も後5年くらいは自力で営業を続けようかと随分迷いましたが、高齢になるにつれ「今のままで本当に関与先に満足されるサービスが提供し続けられるのか」「複雑化する経済、IT、税法などに完全についていけるのか」「致命的なミスをするリスクはないか」 と自問自答してきました。残念ながら小規模会計事務所では 1人の所長税理士等に属人的であり、今後は事業承継目的にかかわらず法人組織か共同事務所として複数の資格者で業務を行うことが不可欠になると考えます。真摯に関与先の立場に立てば今回の統合は正解であったと思います。

最後に、NICOT社には、M税理士法人の紹介と実務上のいろいろなアドバイス、M&A後のフォローまでサポートしていただき感謝しております。おかげさまで、3年経過後も大きなトラブルなく円滑に事業承継できております。今では、肩の荷が下りて第2の自由な生活を楽しんでおります。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

ブログランキング・にほんブログ村へ