会計事務所のM&A体験談 ② (1/2) 【譲受側 H税理士法人】
株式会社NICOTが数年前に仲介・成約した会計事務所の先生方に、その後の面談をお願いしました。
会計事務所のM&A体験談と3年経過後の状況をヒアリングしてまとめました。
先生方には、お忙しいところ、ご協力をいただきましてありがとうございました。
開示できない項目もあり、一部省略しておりますので、ご容赦ください。
(1) 会計事務所のM&Aの概要
H税理士法人(譲受側)の概要
所在地:大阪市内
創業 18年
クライアント:法人顧問先 約180 社、個人関与先 約70 件
代表社員 :T公認会計士・税理士(53歳)
税理士 3名 スタッフ15名
M&Aによる譲受の理由:事務所基盤の拡大、人手不足の解消
M&Aの概要
T税理士(70歳)の税理士事務所を譲受
所在地:大阪市内
クライアント:法人 40社 個人 15件
創業 35年
スタッフ 3人(パート含む)
H税理士法人の支店として経営統合
(2) 引継ぎ後のクライアントの状況
(クライアントの解約・離脱、廃業・解散等による減少)
・残念ながら法人2社が解約・離脱しました。1社は引継ぎ後早々に、1社は統合後、最初の決算終了で契約終了となりました。
・解約・離脱した法人の親族関係の所得税確定申告1名、贈与税申告5名も減少となりました。
・会社清算 統合後、2年経過後に、後継者不足で法人1社が清算しました。
・死亡による所得税確定申告の減少 1名
(クライアント等の増加要因)
・給与計算を受託したことによる顧問料増額
・死亡した経営者親族の相続税申告
・譲渡側税理士の知人税理士からの新規紹介で監査業務を1件受託
・引継ぎクライアントから取引金融機関(大手証券会社)をご紹介いただき、支店長と懇意になりました。その支店の税務相談窓口となり、新規クライアントが増加しました。
(3)クライアントの反応、その後の対応、顧問料など
・譲渡側税理士と協調して入念な引継ぎ計画を立てて実行しました。また譲渡側税理士には、3年間、顧問として残っていただき、クライアントが安心感を持ち、スムーズな移行が実現しました。
・顧問報酬については採算のよいクライアントが数社、悪いクライアントが数社、全体として適当な範囲に収まっているとみています。
・契約書未締結のクライアントも多くありましたが、これを機に契約書を交わし、顧問報酬も自動振替に多くが移行してもらいました。
・今後は、譲渡側税理士の顧問終了(3年契約後)によりクライアント離脱も考えられると思います。
・仕事の進め方の違いがあり、訪問の頻度が減ったことに不満を漏らすクライアントがありましたが、その後のコロナ禍で定期訪問自体できなくなったこともあり、無難に収まりました。
・個人確定申告報酬は総じて採算は悪かったと思います。
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